胸腺に注目してみる胸腺を除いてしまうと、伝染病に非常に弱いって
ことがわかってます。では胸腺の働きとはいったい何をしているのでしょうか
人類の未来も過去から繋がり現在も進行形。
われわれの未来を考えてみましょう。
1961年オーストラリアウォルター・エライザ・ホール
研究所というのがありまして、そこに若い伸び盛りの若い研究者が集まっていた
のですが、そのひとりジャック・ミラーという人、この人がネズミの胸腺を生まれた
時取ってしまったらどうなるかと考えたんです。
ハツカネズミの新生仔、ちょうど小指の先くらいの大きさです。
これを生きたままハリツケにして、そのノドの下のほうから細い管を胸の方向に入れて
吸引する
そうすると柔らかいものがみんな、吸引されてシュッツと出てきちゃう。
かたいものだけが残るわけです。
胸腔には胸腺も心臓もあるんですが、柔らかい胸腺だけが取れる。
生まれて数時間後ですね。
そうやって胸腺を摘出してしまった動物を飼っておいた。
そうしたら、その動物は白血病が起こらなくなった。
ネズミの種類によっては、一定の時期に必ず白血病が起こってくるんですね。
いわゆるリンパ性白血病ですが
それが起こらなくなった。
そうすると、白血病のもとは胸腺にある、ということがわかったわけです。
それで彼は論文にして発表した。
そのジャックミラーという人の偉いなってところは、それからも
じっと観察しつづけたってことなんですね。
胸腺を取ったから白血病が起こらなくなったということだけだったら
胃を取ってしまえば胃がんにならないってのと、あまり違わない
彼はその後も動物を観察することで、
胸腺を取ってしまったネズミはどうも伝染病に非常に弱い
ということや、あまり発育をしない、発育がとまって衰弱して
死んでしまったというのに気がついた。
それから、羊の赤血球を注射してみると、できるはずの抗体ができない。
つまり免疫不全の状態になっているというのを発見したんです。
でイギリスの医学雑誌にほんの短い文章を書いた。
それこそ当に胸腺というのに注目した最初の最大の研究です。